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会社都合にしたくない理由【会社側の本音】と労働者が取るべき対策

最終更新: 2026-06-23

「自己都合にしてください」——会社が言いたがる本当の理由

退職を申し出たとき、上司や人事から「自己都合でお願いします」と言われた経験はありませんか。あるいは、明らかに会社側の問題(長時間残業・給与未払い・ハラスメント)が原因で辞めることになったのに、離職票には「自己都合退職」と書かれていた——そんな理不尽なケースが実は多く起きています。

なぜ会社は「会社都合退職」を避けたがるのでしょうか。そして、労働者はどうすれば正当な権利を守れるのでしょうか。この記事では、会社側の本音と労働者が取るべき具体的な対策を解説します。


会社都合退職と自己都合退職の違いを整理する

まず、両者の違いを明確にしておきましょう。

失業保険(雇用保険の基本手当)への影響

雇用保険法に基づく失業給付は、退職理由によって受給条件が大きく変わります。

項目会社都合退職(特定受給資格者)自己都合退職
給付制限なし(待機7日のみ)原則2ヶ月の給付制限あり
給付日数(被保険者期間1年以上5年未満・30歳未満の場合)90日90日
給付日数(被保険者期間5年以上10年未満・30歳以上35歳未満の場合)180日120日
受給資格の最低加入期間離職前1年間に6ヶ月以上離職前2年間に12ヶ月以上

会社都合退職として認定された「特定受給資格者」は、給付制限がない上に給付日数が最大で自己都合より120日多くなります。たとえば月給30万円の人が3ヶ月多く給付を受けられた場合、単純計算で50万円以上の差になります。

これほどの差があるにもかかわらず、会社が「自己都合」にこだわる理由があります。


会社が「会社都合にしたくない」理由【会社側の本音】

理由1:雇用保険の助成金が受け取れなくなる

これが最大の理由です。会社都合による離職者(解雇・希望退職募集など)が出ると、国や自治体が提供する各種助成金の申請資格を一定期間失います

代表的なのが雇用調整助成金です。業績悪化時に従業員を休業させた際の賃金を補助するこの制度は、会社にとって非常に重要なセーフネットです。しかし、判定基準日から遡って一定期間内に「解雇等」があると申請できなくなります(雇用保険法施行規則第102条の3など)。

他にも、キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金なども同様の制限を受けるケースがあります。助成金の総額は数百万円に上ることもあるため、会社にとって「会社都合」の処理は財務的に大きなリスクなのです。

理由2:雇用保険料率への影響を懸念する

雇用保険には「雇用保険二事業」と呼ばれる事業主向けの制度があり、解雇等による離職者が多い企業は保険料率の見直しを受ける可能性があります。特に一定規模以上の企業では、離職者数が保険料に影響する仕組みが設けられています。

理由3:社会的イメージ・採用への悪影響

会社都合退職が多い企業は、求職者から「人を大切にしない会社」と見られるリスクがあります。離職票の退職理由は直接公開されるものではありませんが、退職者の口コミや転職サイトへの投稿を通じて企業評価に影響することがあります。

特に採用競争が激しい業界では、こうした評判の低下は採用コストの増大につながるため、人事部門が敏感に反応します。

理由4:労働基準監督署・ハローワークへの報告義務を嫌がる

解雇を行う場合、30日前の予告または解雇予告手当の支払い(労働基準法第20条)が必要です。また、一定規模の人員削減は大量雇用変動届の提出が義務付けられています(雇用対策法)。

こうした手続きの煩雑さを避けるために、会社側が「自己都合」での処理を求めるケースも少なくありません。


労働者が「会社都合」を正当に主張できるケース

会社が「自己都合」として処理しようとしても、実態が会社都合に当たる場合は、ハローワークで特定受給資格者または特定理由離職者として認定を受けることができます

特定受給資格者に該当する主なケース

厚生労働省が定める基準に基づき、以下のような状況は会社都合(特定受給資格者)として認められます。

倒産・解雇系

  • 事業所が倒産・廃業した
  • 解雇(懲戒解雇を除く)された
  • 退職勧奨・希望退職の募集に応じた

労働条件の悪化系

  • 賃金が3ヶ月連続で10%以上引き下げられた
  • 労働契約の内容と実際の労働条件が著しく異なった
  • 月45時間を超える残業が3ヶ月以上続いた、または月100時間超の残業が1ヶ月でもあった

ハラスメント・安全衛生系

  • 上司・同僚からのハラスメントが原因で退職した
  • 事業所の安全衛生が著しく悪化した

特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)

体調不良や家族の介護など、やむを得ない事情による退職は「特定理由離職者」として給付制限が免除される場合があります。これは会社都合ではありませんが、自己都合より有利な条件で失業保険を受給できます。

失業保険の詳細な受給条件については、社会保険給付金制度の完全ガイドも参考にしてください。


ハローワークで実態を申告する方法

離職票に「自己都合」と書かれていても、ハローワークで事実を申告すれば認定が変わる可能性があります

準備する証拠

  • 長時間残業の証拠:タイムカード、出退勤記録、PCのログ記録
  • 賃金未払いの証拠:給与明細、銀行振込記録
  • ハラスメントの証拠:メール・チャット履歴、日時・内容を記録したメモ、医療機関の診断書
  • 退職勧奨の証拠:録音データ、文書

ハローワークの窓口では「離職理由に相違がある」と申し出た上で、これらの証拠を提示します。ハローワークが事実確認のために会社に照会を行い、最終的な認定が下されます。


会社が協力しない場合の選択肢

選択肢1:労働基準監督署に相談する

未払い残業代・解雇予告手当の不払いなど、法令違反が疑われる場合は労働基準監督署に申告できます。監督署が調査に入ることで、会社側が態度を変えるケースもあります。

選択肢2:労働組合・ユニオンに加入する

個人加入できる一般労働組合(合同労組)に加入し、団体交渉権を使って会社と交渉する方法です。組合を通じた交渉は会社も無視しにくく、離職票の退職事由変更を求める場面でも有効です。

選択肢3:退職代行サービスを活用する

ハラスメントや長時間残業で心身が限界の状態では、会社と直接交渉すること自体が大きな負担です。そうした場合、退職代行サービスを活用することで、精神的・肉体的な負担なく退職を進めることができます。

ただし、離職票の退職事由について会社と交渉できるのは、弁護士または労働組合が運営する退職代行に限られます。民間会社が単独で運営するサービスは、弁護士法・労働組合法の関係から交渉行為を行えません。退職事由の変更を求めたい場合は、必ず弁護士監修または労働組合運営のサービスを選びましょう。

退職代行の選び方については、退職代行サービスの選び方完全ガイドで詳しく解説しています。


離職票の「退職理由」欄を必ず確認する

退職後、会社からハローワーク経由で離職票が送られてきます。この書類に記載された退職理由が、失業保険の給付条件を左右します。

受け取ったらすぐに確認すべきポイント

  1. 「離職区分」が何番になっているか(1A・1B・2Aなどが会社都合系)
  2. 「離職理由」の記載内容が実態と合っているか
  3. もし相違があればハローワークで申し立てを行う

離職票を受け取ってからハローワークに行くまでの間に、証拠書類を整理しておくと申立がスムーズです。


まとめ:正しい知識で自分の権利を守ろう

会社が「自己都合にしてほしい」と言う背景には、助成金・保険料率・社会的評判といった会社側の利害があります。しかし、実態が会社都合に当たる場合、労働者には正当な権利があります。

  • 離職票の退職事由が実態と異なる場合は、ハローワークで申立を行う
  • 証拠を事前に保全しておくことが重要
  • 会社と直接交渉が難しい場合は、弁護士・労働組合系の退職代行を活用する

心身の余裕がないまま一人で抱え込まず、専門家や退職代行サービスの力を借りることも有効な選択肢です。

退職代行サービスを検討している方は、実績・料金・対応範囲を比較した下記のランキングページをご覧ください。

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