公務員に雇用保険はない?退職後にもらえるお金と制度を徹底解説
最終更新: 2026-06-23
「失業給付がもらえない」は本当か?公務員と雇用保険の関係
退職を考えている公務員の方から、「辞めた後に失業給付はもらえますか?」という声をよく聞きます。答えはシンプルです。公務員は雇用保険に加入していないため、一般的な失業給付(基本手当)は受け取れません。
これは感情論ではなく、法律に明記された事実です。雇用保険法第6条には、国家公務員および地方公務員は雇用保険の適用を受けないと定められています。この規定は職種・役職を問わず、正規の公務員全員に適用されます。
「そんな理不尽な」と感じる方もいるかもしれませんが、公務員には代わりの制度が用意されています。民間の雇用保険に相当するのが退職手当制度です。本記事では、この退職手当の仕組みと退職後の生活設計について、具体的に解説します。
なお、会計年度任用職員(非常勤・臨時職員)については要件を満たす場合に雇用保険が適用されることがあります。本記事では正規の国家公務員・地方公務員を対象としています。
公務員に用意された代替制度:退職手当(退職金)の仕組み
退職手当とは何か
退職手当は、公務員が退職する際に支給されるお金です。民間の退職金と雇用保険の失業給付を合わせた機能を持つと理解するとわかりやすいでしょう。
根拠法は以下の通りです。
- 国家公務員:国家公務員退職手当法
- 地方公務員:各自治体が定める退職手当条例
計算式はシンプルです。
退職手当の額 = 退職日の給料月額 × 支給率
支給率は「勤続年数」と「退職理由」の組み合わせによって決まります。
退職理由と支給率の違い
退職理由によって受け取れる金額が大きく変わります。退職を考えている方は、自分のケースがどれに当たるか確認しておきましょう。
| 退職理由 | 支給率の傾向 | 備考 |
|---|---|---|
| 定年退職 | 最も高い | 長年の勤務への最大補償 |
| 勧奨退職(早期退職) | 高い | 組織側からの退職勧奨に応じた場合 |
| 自己都合退職 | 低め | 勤続年数が短いほどさらに低下 |
| 懲戒免職 | 支給なし〜大幅減額 | 非違行為があった場合 |
自己都合退職の場合、勤続年数が短いと支給率が非常に低くなります。国家公務員の場合、勤続1年未満では退職手当が支給されないケースもあります。
失業者の退職手当という仕組み
公務員退職後、再就職が決まるまでの期間には「失業者の退職手当」が支給される制度があります。これは雇用保険の基本手当に相当するもので、通常の退職手当とは別に支給されます。
ただし支給条件があり、通常の退職手当の額が一定基準を下回る場合に限られます。支給額・日数は雇用保険の基本手当の計算方法に準じて算出されます。再就職活動中の生活費を確保するために、この制度についても退職前に確認しておくことをお勧めします。
退職後にかかるお金:健康保険と年金の切り替え
共済組合から脱退後の選択肢
公務員が退職すると、加入していた共済組合(健康保険・年金)から脱退することになります。転職先が決まるまでの間、医療費の自己負担が増えないよう、速やかな切り替えが必要です。
健康保険の選択肢
- 任意継続:退職後2年間は共済組合の任意継続被保険者として加入可能。ただし保険料は全額自己負担になります
- 国民健康保険:市区町村の国民健康保険へ加入。前年所得に基づいて保険料が算定されます
- 家族の扶養に入る:配偶者等が会社員の場合、健康保険の扶養被保険者になることができます
収入状況や家族構成に応じて、最も保険料が抑えられる選択をしてください。
年金の切り替え
共済組合の年金(厚生年金に統一されています)から脱退後、転職先が決まるまでの間は国民年金第1号被保険者として加入します。退職日から14日以内に市区町村の窓口で手続きが必要です。
民間企業へ転職した後の雇用保険
転職後は雇用保険に加入できる
公務員を辞めて民間企業へ転職すると、転職先で雇用保険に加入することになります。公務員時代の扱いとは切り替わり、民間労働者として通常の雇用保険制度が適用されます。
公務員期間は被保険者期間に通算されない
重要な注意点があります。公務員時代の在職期間は、雇用保険の被保険者期間に一切通算されません。
たとえば、20年間公務員として働いた後に民間企業へ転職し、1年後にその会社を退職したとします。この場合、雇用保険の被保険者期間は「1年」として扱われます。自己都合退職であれば給付日数は90日(被保険者期間1年以上10年未満の場合)となり、公務員として積み上げてきた20年間はまったく反映されません。
これを知らずに転職すると、「万が一また転職が必要になったとき、給付が思ったより少ない」という事態に陥ります。転職後のリスクヘッジとして、以下も検討してください。
- 貯蓄の確保:公務員時代の安定した収入を活かして生活費6か月分程度を確保しておく
- スキルアップ:市場価値を高めることで失業リスク自体を下げる
- 所得保障保険:民間保険でリスクをカバーする選択肢もある
公務員の退職手続き:民間との違いと注意点
辞職は「辞表」ではなく「辞職申請」
公務員の退職は民間の「退職届」とは異なり、任命権者への正式な辞職申請が必要です。提出先は以下の通りです。
- 国家公務員:各省庁・機関の人事担当部署(承認権者は大臣・庁長官等)
- 地方公務員(一般職):首長(知事・市区町村長)など任命権者
- 教員:都道府県教育委員会が任命権者になるケースが多い
- 警察官・消防官:それぞれの任命権者への申請が必要
この辞職申請は民間企業の退職届より手続きが複雑で、正式な手続きを経ないと退職が完了しません。
雇用保険喪失手続きは不要
民間企業を退職する場合は会社側が雇用保険の資格喪失手続きを行いますが、公務員はそもそも雇用保険に加入していないため、この手続きは不要です。その代わり、共済組合の脱退手続きと退職手当の申請手続きが必要になります。
退職後14日以内に行うべき手続き
| 手続き | 期限 | 窓口 |
|---|---|---|
| 国民健康保険への加入 | 退職日から14日以内 | 市区町村窓口 |
| 国民年金の種別変更 | 退職日から14日以内 | 市区町村窓口 |
| 共済組合の脱退手続き | 退職時 | 所属する共済組合 |
| 退職手当の申請 | 退職後 | 所属機関の人事担当 |
これらの手続きを退職と同時に進める必要があるため、事前に必要書類を確認しておくことが重要です。
公務員が退職を伝えられないとき:退職代行という選択肢
公務員特有の「辞めにくさ」
公務員の職場には、退職の意思を伝えにくくする独特の環境があります。
- 「組織に迷惑をかけるな」という強い同調圧力
- 上司による長期にわたる引き止め・慰留
- ハラスメントが原因で直接の申し出が精神的に困難な状況
- 地方の場合、職場と地域コミュニティが密接で退職後も関係が続く
このような状況で退職を進めるために、退職代行サービスを検討する公務員の方が増えています。
公務員の退職代行は「弁護士型」のみ対応可能
公務員が退職代行を使う場合、業者の選択が非常に重要です。民間型や労働組合型では、公務員の正式な辞職申請を法的に代理することができません。
任命権者への辞職申請を代理できるのは弁護士のみです。民間型を使った場合、「退職の意思は伝わったが、正式な辞職申請は本人がしてください」という状態で終わってしまいます。
| タイプ | 退職意思の伝達 | 辞職申請の代理 | 公務員への対応 |
|---|---|---|---|
| 民間型 | 可能 | 不可 | 不十分 |
| 労働組合型 | 可能 | 不可 | 不十分 |
| 弁護士型 | 可能 | 可能 | 対応可能 |
退職代行のタイプ別の違いについては弁護士型vs労組型vs民間型の比較で詳しく解説しています。
弁護士型の退職代行であれば、以下のサポートを受けられます。
- 任命権者への正式な辞職申請書類の作成・提出
- 職場からの引き止めや交渉への対応
- 退職手当申請に関するアドバイス
- 精神的負担を軽減した上での円滑な退職実現
退職代行サービスの選び方全般については退職代行の選び方も参照してください。
まとめ:公務員が退職前に確認すべきこと
公務員と雇用保険についての重要ポイントを整理します。
- 公務員は雇用保険に加入できない(雇用保険法第6条)
- 代わりに退職手当制度が適用される(国家公務員退職手当法・各自治体条例)
- **退職手当の額は「給料月額 × 支給率」**で計算され、退職理由・勤続年数で変わる
- 再就職が決まるまでは「失業者の退職手当」を受けられる場合がある
- 民間企業転職後の雇用保険では、公務員期間は通算されない
- 退職しにくい状況では、弁護士型の退職代行が有効な選択肢になる
退職を決意したら、まず退職手当の見込み額を確認し(国家公務員は人事院のツール、地方公務員は各自治体人事課へ)、退職後の健康保険・年金の切り替え準備を並行して進めることが大切です。
退職代行を活用して公務員を辞めたい方は、公務員対応実績のある弁護士型サービスを選ぶことが最重要です。サービスの比較・選び方は退職代行おすすめランキングでまとめています。まずは無料相談から始めてみてください。
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